絵の話

絵の見方が分かる2つの方法

具象画以外は認めないわ!

ずっと前のことでしたが海外からやってきた○○○美術館展で
1枚の抽象画のあたりから
『何この絵、馬鹿にしてるわ!』
というおばさんの声が聞こえました。
こんなぐちゃぐちゃな絵、わからない!具象画以外は認めないわ!
と言っているようにも聞こえました。
きっとルノアールにシャガール、印象派、あるいは写実的な絵が好きなのかもしれません。
まあそれでもいいのだけれど・・。

この絵いいなあと思うとき。
それをどんなところで感じ取りますか?
絵について学んだことがない場合
とっかかりがなくて手探りかもしれません。
それでも楽しむことは十分できると思いまが
もっと深く鑑賞するために判断になる物差しがあるといいですね。

本物みたいに上手な絵だけがいい絵ではない 

写実的な絵は日本で人気があります
千葉県に写実専門の美術館があるくらいだから。
写実は描かれている内容が一目瞭然だし
どれだけ『らしく』描けているかという技術的なことも比較的わかりやすいです。
だから上手いなーという感動は得られやすいのです。
では本物らしく上手に描かれた以外の作品を
あなたはどう観ていますか?

名画と言われているがどこが素晴らしいのか
さっぱりかわからない作品も多いですね。

いい絵の条件って何だろう?

ではその他の絵の見方について考えてみたいと思います。
僕は下記2点をあげます。

  1. 色と構図の美しさを探してみる
  2. 作家の持つ世界観の多様性に触れる

他にも考えがあるとは思いますが・・・
1つづつ説明します。

1.色と構図の美しさを探してみる

『色と構図』は絵画でもっとも大事な要素です。
どういうことかっていうと『長沢節・私の水彩』に分かりやすい説明がされているので引用します。

構図とは色のありようのこと
絵画という枠の中で美を物語るのはデッサンではなく、
色の構成だということについて説明しなければならないが、
構図くらい人に説明しにくいものはない。

一言で言ってしまえば構図とは平たい画面の中に、
いったい色がどんなふうに並べられたか?
つまり<色のありよう>のことである.。

もともと画面の中の言葉は、色でしかないのだから
それらさまざまの色がいったいどう組み立てられ、
どういう色の関係を形作ったかということなのだ。

 長沢節・わたしの水彩 美術出版社

例えばマティス の作品とか思い浮かべれば分かりやすいと思います。
画面上では色と色の調和、ハーモニーが表現されています。
そして画面内に描かれている要素に無駄なものがないと言われています。
全てのものが画面構成上、なくてはならないものなのです。

(抽象画について)

さて、この考えを進めていくと
『何が描かれている』のかはあまり関係ないということになります。
花だの風景だのは意味をなさなくなります
だって『色と色の関係』なんだから。
抽象画でいいよね、となっていきます。

この考えを知っていれば冒頭のおばさんも、
文句を言っていた抽象画に対して
もう少し楽しめたかもしれませんね。

抽象画を見るときのきっかけとして、
色と構図から見ていくのは、いいヒントになると思います。

2.作家の持つ世界観の多様性に触れる

『色と色の関係』を推し進めていくと絵画は抽象的になっていきますが、
絵の楽しみは、やはりそれだけではないと思います。

『それぞれの作家がどんな世界観を持っているか?』
作家はみんなそれぞれ個性がありテーマも様々です。
幻想的であったり
日常の幸福感であったり
社会的なテーマであったり
抽象でも自然を感じるものから幾何学的なものまで色々あるわけだし
調和もあれば
あえて不調和もある。
その表現の多様性に接する事が
絵を見る楽しみでもあります。
例え好みでなくてもしっかり作られたものは見応えがあるし
好みがストライクなものに出会えたら欲しくなってしまうかもしれません。

これは絵に対する知識はなくても楽しめますね。
でも、すっごく大事なこと。
ていねいな自分の世界観の表現は
自分と対話していることの表れであり
いい絵であることの条件ではないかと思います。

まとめ

写実的、技術的に優れた絵意外の
いい絵の見方について2つの方法を書いてみました。

  • 色と構図の美しさを探してみる
  • 作家の持つ世界観の多様性に触れる

特に色と構図の話は、色々な場面で使えると思うし
そのうえで作家たちの世界観に触れると
絵を見ることの楽しさは倍増すると思います。

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