絵の話

色で楽しむ絵画の世界・超シンプルな絵の見方・楽しみ方−2

◇絵画は「色遊び」

前回のお話では、難しい知識は置いておいて絵は色で楽しみましょう
絵は色遊びだよというお話をしました。
まだ読んでない人はぜひ読んでみてください

さて、今日はもう少し説明を加えて核心に近づいていきます。
少し論理的かもしれませんがポイントは限られているので大丈夫です。
今日の話を読めば全く絵の分からない人も
絵に対する抵抗が減り、今まで以上に見ること描くことが楽しくなります。

◇「この色キレイ~!」とは絵画の世界では言いません

僕たちは日常生活のなかで「あ、この色キレイ~!」という言い方をよく使います。
でも、絵画では1つの色だけで、この色がキレイという考え方をしません。
どういうことなんでしょうね?
簡単に言うと絵画では
2色以上の色と色が引き立てあっていたり
響きあっているときにキレイと考えます。
以下に要点を3つにまとめてみました。

==3つの基本的な考え方==

1・色と色の関係

「色と色の関係がキレイ」これが絵画の考え方です。
丁寧に言うと「平面の中でどんなふうに色が構成されているか?」ということです。

2・マッスという言葉

絵画を語るときに時々マッスという言葉を耳にします。
マッスとは形や量感の事ですが
絵画の平面の世界の中では
色には何かしらの形、量感が与えられています。
絵画は色のついたマッスが構成されることでできています。

3・構図

上で説明したような平面の中での色の構成を「構図」といいます。
マッスという言葉を使うと構図とは 「色のあるマッス(形)の構成」ということになります。
例として簡単な絵を描きました。(下の絵)
画面の中に様々な色のついたマッス(形)が
上手く構成されていると、いい構図、いい絵ということになります。


ちなみに背景や余白のマッス(形)も大切な部分です。
描かれた少女や花などのモノだけにとらわれないで
背景や余白のマッス(形)の残し具合もよく見ると
それらも作品の良さを左右する大切な部分であることが分かります。
(ポジのフォルムでけでなくネガのスペースも大事だよ。というと伝わりやすいかな?)
絵を見るときは隅から隅までよく見てくださいね。
いろいろなところに眼が届くようになると
自分の眼で見ている実感がわいてきます。
僕はこのような見方を知ってから
絵を見るのが楽しくなりました。

◇マティスに絵を観るヒントがある

僕はマティスの絵を通してこの見方を学びました。
マティスの絵は色と色の関係が明快に画面に表れているので
わかりやすいのです。
例として「夢」という作品を例にあげます。
色と色の関係、構図(色のあるマッス(形)の構成)
を思い出しながら観てみてください。

人物が面白い形で書かれているおかげで
画面の四隅の赤い部分や黒いスカートが
面白い形に切り取られています。
余白部分が大切なのが分かると思います。
色と色が調和しているのを感じてみてください。
マティスは色と色の調和を徹底して作っているので
絵のなかではムダな色は描かれていません
画面の中で意味のある色しか置かないのです。
無駄なく計算された色の組み合わせですが
大胆な構成のおかげで堅苦しくならずに
それぞれの色が伸び伸びと主張できています。
ここまで見て分かることは
写実的に描かれた絵がいいわけではない、ということです。
大切なのはデッサンではなくて
色の構成だということが分かると思います。

◇色で、いろいろ個性に出合える

この見方で色々な絵を実際見てみてください
人の色に対するセンスは生まれつきかもしれません。
「あたしにはセンスがない」と思っていても嘆かなくていいですよ。
それを個性として逆手にとれば面白い絵が描けます。
それが絵画の面白いところです。
だれもが他人と違った個性的な絵を描ける可能性を持っています。
良い悪いで見るというより個性です。
汚い色の組み合わせでも面白い絵はあります。
それはその絵を書いた人の個性です。

◇自分の眼で楽しめる

色と色の関係を頼りにして見ることは
自分の眼で楽しんで見るためのきっかけ作りになってくれるので
解説に頼ったりしないで済むようになります。
有名な画家から子供の絵まで
いろんな個性に出合うこともできます。
どこから観ていいか分からないという事も無くなるでしょう。

◇ポイント

絵画とは様々な色がどう構成されているか?
ということです。
良いと思われる絵は
色と色の間に対話や調和があったり
お互いに響きあっていたりします。
この話で前回よりも納得できたのではないかな?と思います。
楽しんで色で絵と遊んでくださいね!

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